「、今日はとってもいい天気ですね」
「・・・・・っ!」
なんだろう。骸さんが抱きついてくるのはいつものことなのに。
なんだか今日は不安要素しかない。後ろからのしかかるのは体重だけではないようだ。
人がソファにもたれながら雑誌を読んでいるときに、なんの遠慮もなく後ろから抱きついて擦り寄ってくるのは
骸さんだけだとわかってるから大して驚きはしなかったけど。
べつに怒ってるわけでも企んでるわけでもなさそうなのに、
思わず顔をしかめてしまった。
いや・・・その理由だけじゃないんだけど。強張ってしまったのは。
「む、骸さん、あの、暑苦しいです」
「クフフ、照れるは本当に可愛いですね」
いつも以上に上機嫌な骸さん。余計にベタベタくっつく。
いや。暑苦しいってのはまぁちょっと嘘ってか
冷房がガンガンに効いたこの部屋で人肌に触れるとむしろあったかいっていうか
いや!いやいやいや!安心はしたけどそれだけよ!べつに骸さんじゃなくても!
心の中で自分に言い訳するのだけれど、その聞き苦しい言い分は
熱のこもった顔を見られてしまってることで無意味になっていた。
いや!でも私は認めない!
じんわり熱も落ち着いていったころに、いまだ抱きついている骸さんを離そうと思ったけど
「いい加減放してください」
「わかりました、もっときつくですね」
なにが!!話がつうじねぇ。(毎回毎回この人は・・!)
というか熱は去ったけれど、心臓は相変わらず鳴りっぱなしなのですが。
もう放してもらうのは諦めて大人しくすると、チュッと音を立てて私のほっぺたにキスする骸さん。
思わず小さい悲鳴を漏らすと、今度は大事そうに私の頭に手を沿え
顔を見合わせるように向きを変えた骸さんの手。
少し見つめあうとそのまま丁寧に優しく合わされる。
骸さんは堪能するように、私は翻弄され
息も切れ切れになってやっと放されると、放れて私の目が開く間にソファを超えて側へきた骸さんが私を抱きしめる。
なんだろう。今日はなんだかいつも以上に熱い気がする。骸さん。
息も整って、「なにしてほしいんですか?」と訊く。
だって、骸さんがこう甘えるときは。何かあったに違いないもの。何かしてほしいに違いない。
そう思って訊いたのだけれど、骸さんは少し驚いた顔をしたあと(骸さんは驚くと無表情になる)
「いいのですか?そんなこときいて」
と、今日始めてのなにか企んだときの、黒く微笑む骸さんを見た。
あれ。なんでだろう。いまさっきまで、すっごく甘い雰囲気だったのに。
イヤな予感しかしない。いやらしいオーラしか感じられない。
その私の表情で察したのだろう。骸さんはにこにこ微笑んで追い討ちをかけるのだ。
「それがからのプレゼントということですね」
「いやそんなこと言ってないで・・・・・プレゼント?」
あまり普段きかない単語に違和感を覚える。
え。プレゼントってなんのことだろう。なんかあったっけな。
まぁそう思ってしまえば話は早い。すぐに思い出したのだ。今日という日を。
(や・・・っば、誕生日・・っ!!!)
すっかり忘れてた大切な日。
それらもまとめてすべて顔に出てしまったのか、骸さんの黒いオーラはますます濃くなる。
ごめんなさい。もうこの先の展開読めました。結構本気で身の危険を感じてる。
もう今回ばっかりは私が悪いので。反省して抵抗はしないで
「どうぞ・・・」
と、文字通り身を捧げました。
元々抱きしめられていた身体はそのまま横抱きに上げられ、どうやら場所移動するようで。
「今日はどれだけ可愛がってさしあげましょうか」
あぁ、今日はどれだけ捕らえられてしまうのでしょうか。
あー、うん。でも。
貴方の笑顔をみると、捕らえられるのもいいかなと思ってしまうんです。
貴方の笑顔に出会えて、私は嬉しいです。幸せです。
貴方が眠っているときに、そうこっそり呟いた。
「お誕生日おめでとうございます、骸さん」
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今日気づいたよ、ごめんなさい!
お誕生日おめでとう!大好きな骸さん、いつまでも活躍していてください!
2011.06.09