「だ〜れだv」

「・・・私です」

「ですね!さ、命令をどうぞv」

「じゃあ、2番が3番殴る」

「はいはい、僕2番でーすっ!3番、立ち上がりなさい!」

「きゃんっ!」



犬が短く返事(悲鳴)をす(あげ)ると、まだ立ってもいないのに犬を殴った骸さん。
千種はそれを素早く避ける。犬が怒る。千種黙る。
・・・立ち上がれって言った意味は一体・・・。
私は疑問に思うも、隣に居る髑髏は何も思ってないのか無言だ。
っつか、なんで久々に出たと思ったら王様ゲーム?まずそっから疑問なんですがね。
はい?そこじゃない?骸さんと髑髏が居る?あ、うん。骸さんが実現化してんの。
っつか、髑髏いなくてもできんかい。っつかくだらないことで実現すんなや。
そう思うも、今の骸さんは恐ろしくハイテンションなので言えない。そんな楽しいのかな。



「骸さん、思いっきり殴りましら」

「クフフっ!修羅道でやった方がよかったですか?」

「いえいえいえいえ、すいませんれした」

「犬、飛んだしね」

「うっせー!柿ピ」

「次いきますよ、次!」



うきうきとする骸さん、でも実は一回も王様になってない。
「次辺り連続でくる気がします!」そう何度も言ってる。ホントにくればいいね。
割り箸を箸筒に入れるとぐるぐる回す雑用も、今は骸さんがやってる。それすらも楽しい感じ。

なんだか余計切なく思えてきた。いや、可哀そうな人とか思ってないよ?言葉通りの意味です。
骸さんは辛い思いしてんのに、何もできない自分が悔しいとかのそっち。骸さんがイタい人とか思ってないから。
「王様だーれだ!」狽ヘっ!出遅れた!
早く引く意味はないけど、余った1本を急いで引くと・・あれ?赤文字の、数字ではなく漢字。王様だ。



「また王様でーす」

「残り物には福がある、ですね。さすがです」

「じゃあ、2番が3番を殴る」

「、それしか言ってねぇびょん!」



犬が私に怒鳴る。ちょっと、いくら一番離れた位置でもアンタの声デカいんだから。
言わなくてもわかるだろうけど、私の両隣は骸さんに髑髏。距離的には犬が一番遠い。
というのは、決まってる位地なのだ。少なくとも犬が1番遠いってのは。骸さんの命令でね。
・・・違うから。私は鈍くない。恐いから気付かないフリしてんのよ。

そんな説明はどうでもいいとして、また骸さんが犬をぶっ飛ばした。
・・・また君らだったのね。ちょっと犬に悪いけど。
そう思ったら犬がちょっと近づいて、小声で話しかけてきた。



「わざとやってんのか?アァ?」

「犬、口調が不良相手になってるわよ」

「どうでもいいびょん、オレの身にもなれ!」

「ぶっちゃけ面倒なのよ、王様ゲーム」



そう言うと犬の目はぱちくり開く。
おぉ、可愛い。髑髏みたいだ。言ったら殴られるだろうけど。(髑髏はぱちくりで可愛いよね)
そう思ってたら、犬は「骸さーん!がメンドイっれ言いましたー!」と叫び始めた。
おぉい、テメー何チクってんだ。犬鍋にすんぞ。あ、犬は人間だ。やめよう。
そう思っても、犬は普段チクられる立場だからか、ここぞとばかり言う。おのれ・・・。
その様子に千種は溜息を吐き、髑髏はやっぱり無表情。骸さんは微笑んでる。
でも少し悲しそうな表情になっちゃった。・・・犬、テメー空気読めっ!
「はつまらないですか?王様ゲーム」
本当に切なそうな目や声で言う骸さん。・・・犬め。やっぱ犬鍋にしてやろうか。
「骸さんが楽しいなら、楽しいです」
そう言って笑うも演技だとバレバレで、骸さんは顎に手を当てて何か考えてる。
けれど5・・いや、3秒も立たない内にその手は解かれて変わりにポンッと手を叩く。(茶壷みたいな)



「では雑巾拭きかけ競争をしましょう!」



満面の笑みの骸さんは、とっても輝かしいといつも思う。

「家も綺麗になって一石二鳥です!」確かにそうですけど、明らかにみんな嫌がってますやん。
特に千種あたり。髑髏もちょっとめんどくさそう。あぁ、ごめんよみんな。
しかし私はどっちかと言うとそっちがいい。退屈なんだもの。王様ゲーム。

そう思ってる間も、骸さんは「雑巾・・洗面所ですね!」って言いながらキッチンに向かってる。
ちょ、アンタ方向音痴じゃないでしょうに、ボケ?ボケですか?ツッコミを待ってんですか?
とりあえずボケだった場合、1人にしたら相当イジケそうな気がするので追いかける私。
「骸さん、洗面所こっちです」そう言って骸さんの手を引っ張ると、抱きしめられた。
何かと思って骸さんの顔を見ると「・・・だけです・・!わかってくれるのは!」と涙ぐんでる。
あぁ・・・やっぱりボケでしたのね。貴方いつからそんな可愛いキャラになったんですか。
そう思えば「なら付き合いましょうv」とストレートに告白されるも「いや関係ないです」と即拒否。

また涙拭いてる素振りを見せる骸さん、いや・・・泣いても『嘘です』なんて言うわけないでしょう。
でもやっぱりちょっと可愛いし、久々に逢えて私も嬉しかったので



骸さんの手を握って、2人で雑巾取りに行きました。












~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

これ普通に短編でいいのではないか。
いや、小話だろ。

今も小話と短編の境界線がよくわからない御巫(ぉぃ



2007.12.07