これはどう考えてもおかしい状況だ。
いつも通り、みんなが集まるリビングに居るのはいいんだ。
けど…

「骸さん、ここから出してください」

なんで私、牢に入れられてるんだ。
細かいアンティーク調の鳥かごは100%骸さんの趣味だけど、私にとっては牢は牢。
なんだ。私だけ復讐者(ヴィンディチェ)の牢獄入ってないから気分だけでもですか。こんな可愛らしいところにあなた達入れた覚えありません。
すでにこの牢に入ってから数時間、いい加減耐えかねた私は不満爆発寸前なのだが
ソファで楽しそうに作業する骸さんは上機嫌に私を眺めるだけだ。

「ダメです。、バトラーウォッチを取りに行くでしょう?」
「とうぜんです」
「絶対ダメです。をあんな危険な場所につれていけません」

私こそ、あなたをそんな場所へ送り出せません。っていうか、いっそあなたのボスウォッチ壊しに行かせてください。
それさえなければ骸さんたちは…。骸さんの手首に引っ付いてる"そいつ"を睨みつける。
しかしそんな私のしぐさすら嬉しそうに見る骸さん。
まあ嬉しそうにする理由はいくつか心当たりがあるけれど、牢に仲間入れてにやにやっておかしいだろう。
鉄格子を掴んで唸っていると、夕飯をトレーに乗せてもってくる千種。
「。今回の代理戦争、白蘭も参加してるんだよ」
「そうよ。だから?」
「だからって…」
だってそれは未来の話で、今は関係ないでしょう?まだ記憶の中でしか会ったことがないのだし。
今日の戦いでみんなはもう会ったらしいけど。今日うちのチームがユニチームへ奇襲に行ったのも、それが理由だったらしい。
しかし今の会話を聞いていた骸さんは、途端に面白くなさそうに。
「クフフ、記憶の中でしか会ったことがない男ごときが…」
眉間にしわを寄せて呟く。・・・え、まさか?逢ってもいないのに?
ブルルと身体が震える。い、一気に行く気が失せた…。白蘭の恐ろしさを改めて感じた。
いやでも!それじゃあ千種の思い通りだし、それは癪だ。それにやっぱり私一人ここに居るわけにもいかない。

今日ついた骸さんの頬の傷を見つめる。
この傷を見たら・・・もう大人しくしてることなんてできない。
「骸さん、出してください」
ギュッと、手に鉄格子の痕がつくぐらい握って。骸さんの目を見る。
千種はいつの間にか出ていっていて、リビングには珍しく骸さんと私2人。
骸さんは、私の側へ寄ると。牢越しに私の頬に手を沿え、もう片方の頬にキスをして私に微笑む。
まるでなだめるかのようなその行為に、違和感を覚えた。

「骸さん、なにか隠してますよね」
「さあ。なんのことでしょう」
「髑髏はどこですか」

私がそう言うと、驚いたように無表情になる骸さん。
フランスから帰ってきても髑髏を迎えにいこうとしなかった骸さん。
それに、なにも気づけないほど私たちは髑髏に無関心じゃありません。犬や千種だって気づいてる。
クフフと静かな笑い声が響くと、骸さんは私の口に人差し指を当てた。

「クロームは並盛でボンゴレに預けてますよ。
 それに、僕がを閉じ込めてる理由は、他にもあります」
「・・・戦闘阻止と、白蘭と、髑髏と、骸さんの趣味以外にもですか?」
「まあ大体そんな感じです。最後が大部分です」

また適当にはぐらかして・・・。
そう睨んでも、骸さんは逃げるように部屋を出てしまって。
また数時間。私は閉じ込められてるんだなと重いため息をついた。







「骸様・・・。を閉じ込めてる理由ってなんですか」

「・・・漠然とですが。なにか嫌な予感がしている。念のためですよ」














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つづ・・く。代理戦争は骸活躍しすぎててネタいっぱいで嬉しいです。
小話いっぱいできそうです。



2012.06.12