「いいでしょう、ヴェルデ博士。僕たちが貴方の代理人になりましょう」
黒曜ヘルシーランドの一室。
六道骸に虹の代理人戦争のことを話し、手を組むことができ一息ついた。
六道骸と利害が一致し、骸が私のチームに入った以上、その部下たちも当然私のチームに入ることになる。
そう、いわば運命共同体なのだ。少し大袈裟だが。
いま来たばかりの私が言うのもなんだが、もう仲間なのだ。歓迎の一つされてもいいはず。
強いて、強いていうなら、戦いに喜んでいる城島犬や、骸の言うことならと従っている柿本千種やM.Mやフランはいい。
「・・・・っ」
いまにもブチ切れそうな表情で私を睨む女が一人。
ひくひきピクピクと口角を引きつらせ、額の青筋は隠すことをしらない。
骸の背後に佇むその女に骸は気づいていないのか、上機嫌に話を進める。
「それでは宣戦布告に行きましょう、着替えてきます」
まて、お前がこの場を離れたら、確実に私はこの女に殺される。
私がこの女に何をしたかまったく身に覚えがないが、あの目が語っている。私への殺気を。
しかしそう私が言い終える前に、骸はすでに部屋を出ていき私へ近づく足音。
ガッ
「な、なにをするっ…!放せ女!」
「余計なことを…!!」ギュウウウッ
「な、!?」
宙に浮く私の身体は、私の首にかけられた手によって持ち上げられていたものだった。
は私の首を絞め、それは恨めしそうに怨念の篭った声で呟く。
周りの者も驚愕の表情でこのやりとりをみつめるも、止めようとする者は誰一人としていない。
おい!この初対面の人間の首を絞める気違い女を、誰か止めろ!!
そう言いたくても締められている首からはもちろん声は出ず、ただ呼吸が浅くなっていくだけ。
「どうしてくれんのよ、骸さんその気になっちゃったじゃない・・・!!」
ドスの効いた声が響いて、その意図を理解しようとする。でなければ命が危ない・・!
「な、なにがそんなに不服なのだ・・・!」
「人に命がけの話持ってきて、不服もなにもないわーー!!!」
「あぁうん。まあ・・・」
「たしかに・・・」
私を床に投げつけるのと同時に吐き出された怒りの理由に、その場の全員が納得する。
やっと解放された首とぶつけた額を擦り、と向き合う。
肩で呼吸をするは、もちろん床へ投げつけた私を見おろすわけだが、その視線は先ほどまでの蔑むような目ではなくて。
凛とした、強い目だった。
「骸さんをっ、危険な目にあわせたら許さない・・・!!」
はそれだけ言うと、どすどすと歩いていき部屋から出ていった。
嵐が去ったあとのように静まりかえる部屋に、城島犬の「あんな怒った、初めて見たびょん…」という声が響き渡った。
ズレていたメガネを直し、が出ていったドアを見る。
(まあ・・・それが普通の反応か)
この世界に馴染みすぎて、どこか忘れていた"普通の感覚"。
私は・・・彼らを見くびっていたのかもしれない。ただの、この戦争の駒だと。
もうこの場にいない彼女を想い、誓う。
「約束しよう。君が安心できるよう、私の全てをもってして彼らに協力すると」
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ヴェルデにブチ切れる。
でもヴェルデの最後の協力的な態度に、主は見直すと思うんだ。
っていうことで、仲悪いことはない二人。話の相性はいい二人。
その内兄妹みたいな関係になると、いいな!←希望
2012.06.06