「はじめまして。3年C組のです。よろしくお願いします」


新しくマネージャーがきた。

は同じクラスで多少は知ってた。
変わってて明るいやつで、みんなに人気者だ。
そしてマネージャーになってテニス部に入ってきた一員として、テニス部にも人気がある。
俺の後輩の長太郎にとってもアイツは大切で、全員に大切と思われてる。

確かに気が効くし楽しい話をたくさんするやつだけど、
俺にとっては大して必要な友達ですらなかった。
女という存在は、苦手だからか、普段寄ってくる俺を好きな奴らしか印象がない。

俺がを好かない理由は他にもあった。
前、にそっくりなやつが居た。
そいつも目立って、俺の周りの奴らには結構人気だった。
だけど本当は俺目当てで入部したらしく、陰では仕事をしてなかったらしい。
以来、女には誰相手でも距離を置くようになったんだ。

俺って冷めてんな。


でもは多分違うだろう。あの跡部にも言い寄られてるし。
そんなやつが俺なんかを好きになるわけないだろう。そう思った。
だから、これからはクラスメイトとして友人として愛想よくなろうと
思ったけど

翌日、朝練で見かけたに挨拶した。



「よっ」
「っ!」



何故か数秒、固まられた。
また話しかけようとすると…



「宍戸に初めて挨拶された!」



と、大声をあげて喜び始めた。
今まで俺から挨拶したことはなかったのか・・・と思いつつも、なんでそんな喜ばれるんだ?
そう思った。

「だってこれで長太郎に自慢できるじゃんっ」

・・・変人振るのがアイツにそっくりだった。
昨日やっと友人と思うよう決意したばっかりなのに。
また距離を置いた。

その日もいつも通り冷たくしたにも関わらず、は俺にたくさん話しかけてきた。
思えば、アイツも俺が話しかけた日はかなりしつこかった。
また重なる。アイツと。
悪ィーけど、もう凝りてんだよ。そうゆうのは。

練習が終わったあと、偶然帰り道が一緒だったからと帰った。
そのときも変わらずいろいろ話す。俺は適当に相づちを打ってた。

話しが一区切りしたとこ、
いい加減終わらせようと俺から質問した。



「なぁ、好きなやつ居んのか」

「え、何。恋愛相談?」


本当、アイツそっくりにとぼける。


「まぁそんなもんだ」

「そっか」


ここでどう返す?
本当にアイツにそっくりなら…


「で、居るのか」

「さァ」


やっぱり。曖昧な返事。コイツもか。
そう確信した。けど、俺の思わぬことを言った。



「その人はあたしのこと好きなんだよね」

「は・・あ?」



俺はそんなこと言った覚えねぇぞ。
それとも俺の態度を勘違いしてるのか?

間抜けな声を出した俺に、いつもは笑うであろうも今は真剣な顔をしてる。



「なんでそう言い切れるんだよ」

「なんでって、告白されたから」



一瞬、真っ白になった。
告白?

「氷・・帝のやつか?」

そうわずかにあった気力を振り絞って訊く。
そうすれば現実を確定する答え。



「違う。他校だよ」



もう、何を言っていいかわからなかった。
それからはありきたりな
その人に対する想いが愛情かわかんない、とか
でも気になる、とか言ってた。
その顔はずっと真剣のままで、とても嘘とは思えない。
俺はやっぱり、適当な相づちしか打てなかった。


そうか・・・は俺を好きじゃなかったんだな。
よかったじゃねーか。距離なんて置かなくても。
はそうゆう対象として俺を見てなかった。
これでちゃんと友達として見れる。変な気まわさないでいれる。




よかったじゃねーか。





止まらぬ涙の理由 (宍戸ごめんね。あ、氷帝カラーだ。 背景素材のタイトルが配布サイトさまで『止まらぬ涙』でした。 偶然にも、そして何より丁度探してた感じなんで即決めです。) 2008.02.22...write 2008.03.28...up