「こんにちは、さん」

「こんにちは、ミシェルさん」

「今日は早いですね。僕に会いにきてくれたんですか?」

「寝ぼけたこと言ってないで、仕事してくださいね」

「つれないですね。まぁそのつれないところがまたすてk…」

「さっさと仕事しろってBook of Memory











「では、お預かりします」

「はい」

「あ、すいません。うっかり手がv」

「いいから放せや。わざとらしさ100%だから」



本を渡す間際に手を触れられ、そしてわざとらしく謝る。
これが結構ここへ来るときの恒例だと思う。
やられるとわかってるのに、何故かいつも避けない私。なんでだろう。
いつもやられて面倒くさいのに何か嫌な思いはしない。嬉しいわけでもないけど。



「あ、予約していたものが先日届きましたよ」

「じゃあ、それをお願いします」

「では、今夜。僕の家にて・・・」

「なんで」



この図書館には数年通いつめてる。古い図書館。滅多に人は来ない。
この人、アルフォンス・ミシェルさんがココへ来る前から、私はココに居た。
だからミシェルさんとは長い付き合いだが、出会ったときからこんなやりとりをしてた。
偶然、他の人が予約してたところを見たけど、その人相手にはやってなかった。何故。
女の人相手には本を使って触れてるところは見たけど、こうゆうフザケた会話はしてなかった。
私は遊ばれているのだろうか。暇つぶしか。



「さん、もう少し居ませんか?紅茶でも」

「ココ図書館ですよ」

「上のティールームで」

「ティールームなんてありましたっけ」

「僕が事務用室を潰し・・・改名して作りました」

「明らかに今潰したって言おうとしたよな」

「いいではないですか、事務用の道具なら1階の奥部屋に揃ってるんですから」

「仕事場にまで趣味を持ってくるなよ」

「まぁまぁ、そう言わずに」

「まだ居るって言ってないのに、どうして連れ出してるの」

「おや?まだ、ということはこれから言うつもりだったんですね」

「っ!」



いや、そうゆうわけで言ったんじゃないよ。ツッコミだよツッコミ。
と、心で言い訳してても相手に届かないし、思ってる間に入れられちゃったし。



「一般の紅茶なら、大体揃ってますよ」

「ココ絶対図書館じゃないね」

「貴方の大好きな図書館ですよ」

「もういっそ、喫茶店にでも仕事場変えたらいいのに」

「僕が入れた紅茶の方が断然おいしいですよ」

「言い切ったな」



話ながら手際よく、紅茶を入れてくミシェルさん。
まだ何が飲みたいかなんて言ってないのに、
私の好きなアップルティーを入れてるのは偶然か。(それにしても訊いた意味がない)



「それに、さんにも会えなくなってしまいます」

「私だって、喫茶店ぐらい行きますよ」

「僕は2人っきりで会いたいんです」



よくもそうゆう言葉をさらりと言えるな・・・。流石フランス人。
紅茶を入れながらも、目を閉じて言うミシェルさんは絵になってた。
いつもすかしてるけど、これは素なんだろうか。

と、少し視線を外したら見覚えのある本が1冊。
ミシェルさんがいつも持ってる本だ。
カバーは茶色に白文字。作者など書いてある文字は黒色の本。
しかし、作者は背景色の茶色と色が混ざってしまってるため、大変見にくい。
近くで見たことなかったから気付かなかったけど、作者名がミシェルさんだ。



「ミシェルさん。そのいつも持ってる本、ミシェルさんが書いてるんですか?」

「え?えぇ、そうですよ」

「何書いてあるんですか?」



気になって訊いてみたら、ミシェルさんは一拍子置いて言い始めた。



「詩、ですかね」

「詩?詩集ですか?」

「そうですね。まぁ一見そうでしょう」

「?」



一見とはどうゆう意味なのか。
訊けば、日記でもありエッセイでもあり詩でもあるんだそうな。
つまり、本当に起きた日々の出来事を詩にして書いてる・・と。
私はその内容に大きく惹かれた。



「へぇ。凄いですね」

「それほどでもないですよ」

「でも、日記をポエムにするなんて素敵じゃないですか」

「・・フフッ」

「?」



急に笑い出したミシェルさん。
どうしたのかと思ってたら、ミシェルさんの顔が近づいてきて
互いの息も吹きかかる距離で、私の額をつんと指先で突いて言った。



「顔に“見たい”って書いてありますよ」



図星なことを言われてしまって、慌てて下がる私。
その私の様子すらも、上機嫌に笑っているミシェルさん。
少し悔しくて拗ねるようにそっぽを向いたら、
私の手を取ると同時にその本を渡してくれたミシェルさん。



「どうぞ」



そう一言言われただけなのに、顔に熱が篭る。
照れ隠しに渡された本をすぐ開いてみた。
そこには一ページ一ページ、綺麗に書かれていた文字たち。
けれど、肝心な文字が…



「フランス語ですかミシェルさん」

「フフ、誰も日本語で書いてあると言ってないでしょう?」



また笑うミシェルさんに、騙されたというように睨む私。
ずるい、これじゃあなんて書いてあるのかわからない。
「ゔー」と唸っていれば、ミシェルさんはまた笑う。
この人は、いつも人で遊んで・・!



「解読してもいいですよ?しばらく貸して差し上げます」



また笑う。
私にはそれが『解読してみろ』と聞こえ、お言葉に甘えて貸してもらった。
「下の図書室にフランス語講座や仏和辞書もあったでしょう」と言われ、
ミシェルさんをティールームに残したまま、図書室に行く私。

ガコッ ガコッ
音を立てて、使えそうな辞書たちを探していく。
探すだけで5分も掛かったのに、解読はそう時間が掛からなかった。
まるで、『初心者でも辞書があれば解読できる』ように簡単な単語ばかり。



誰も居ない図書部屋 そこには沢山の知識・想いがあった
僕を満たしてくれるこの空間 しかしそれだけではなかった
ある日天使が来た ココは天使がくる 聖堂 だったのだ
彼女はいつもココへくる 汚れた僕を癒してくれるように



どのページを見ても、似たような文しかなかった。
けど、最後のページには新たな単語が2つ。



愛しています 美しい天使 



誰も居ない図書室の中
私はいつまでもそこに座り込んでいた。

















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甘いの苦手とか言ってるくせに、甘いのばっかですね(ぁ
・・・だって悲恋とかまだ小説数少ないのに、まだ書きたくない
だってそのキャラが可哀相じゃん!!(・・・

テニプリの観月さんと被るぜ。
でも、観月さんをさらにすかした奴がミシェル。だと思う(ぁ
2人共癖毛だしね。観月さんは本好きだし紅茶好きだし、
でも気は合わなさそうな2人。きっと同属嫌悪だ。

ホントは詩のところをフォント変えたかったんですけど
変えたら見難くなったので、却下。見難いのが1番萎えますよね。
そして詩ってどうやって書くんですか(ぁ
ってゆーかミシェルさん、座らせてないで迎えに行ってやれよ!



2007.09.20