私は結構チヤホヤされてきた。
家もそこそこのお金持ちで、小さい頃から大人たちにぺこぺこ頭下げられてたし
自分で言うのもなんだけど、結構可愛いからモテる。
お付き合いの申し込みなんて何回されたか。だけど今んとこ全部断ってる。
好きでもない人とは絶対付き合わないし、私は告白する派だ。
だから、硬派とかクールって言われちゃってる。別にそんなことないのに。
その証拠に、今は恋をしている。
「あ、ツナおはよう」
「あ、おはよう」
彼、ツナの席は私の後ろ。
私はいつも、用意したら椅子を後ろに向けてツナの机に肘を付いて待ってる。
この私が平々凡々、というかダメツナと呼ばれてる彼を好きになるとは思わなかった。
確かに体育じゃいつもビリだし、テストだって点数悪いし、変態だって噂もあるけど、
何故か今は彼と居ると、心が穏やかになる。気がする。
話しは楽しいし、反応はいちいち敏感で面白い。
だけどこれは報われない恋。だってツナには好きな娘が居るもの。
「ツナくん、ちゃんおはよう」
「京子ちゃん!お、おはようッ」
「おはよう」
ツナ。それはあからさまだろ。
心の中でちょっと突っ込んでみる。
ツナは京子が好きだし、京子も多分ツナが好き。オーラがそれっぽい。
でもお互い気づいてないどころか、京子は好きって気持ち自体気づいてないと思う。
多分、今はまだまだくっつかないけど将来くっつく気がする。
二人は両想いだから、私の出る幕はない。
少し悲しいけど応援はできる。初恋は実らないって言うしね。
段々、少しずつ忘れていこうと思う。なるべくツナを見ないようにして。
唯一の救いは、ツナの席が真後ろだったこと。
これだったらあまり見ることはない。
あまり遠くの席だったら余計意識しちゃいそうだし、ツナとは友達で居たい。
私の初恋の人は、隣の席じゃなく前の席でもない。