ガタンガタンと揺れる、トラックの中。
私はいま一人、大量のダンボールと共にいる。

ドキドキと鳴る私の心臓。
運転席から『お義母さん』の鼻歌が聞こえる。


廃墟の中、倒れている幼すぎる私を見つけ育ててくれたのは
たまたまオーレ地方に仕事で来ていた、今のお父さんとお母さんだった。
ジムリーダー候補のお父さんは、治安が悪いオーレ地方にポケモン教会から命じられてきていて。
治安復興のため、オーレ地方のお偉いさんと長く話すことになり、オーレ地方に長く滞在していた。

私が5歳になるころ。その仕事も終わって、私を連れて元の家へ帰ろうとしたとき
私は、恩知らずに「本当の両親を探したい」とお父さんとお母さんに言ってしまった。
後悔はないけど、二人を傷つけてしまったと思っている。とても良い人たちなのに。

その私の気持ちを汲み取ってか、そのまま私をオーレ地方に残してくれたお父さん。
まだちゃんとしたジムリーダーになってないのに、仕送りはたくさんしてくれるし
月に何度も、気が向くたびに写真付きで手紙をくれた。


そんなある日、私はいま12才。お父さんから一通の手紙。

『ジムリーダーになったんだ。一緒に暮らさないか?』

ホウエン地方のジムリーダーに就任したようで、べつの地方に住んでたお母さんも引っ越すようだった。
そして、この機に私も一緒に来ないか、と。誘ってくれたのだ。

手紙にはつらつらと、私の親のことを書いてくれたりしていたが
私はつい最近。知ってしまったのだ。もう親の行方はわかってしまったのだった。
そのことはお父さんとお母さんには話していない。だから、行って会って話そうと思った。


そして数時間前、7年ぶりにお母さんと再会し、船でホウエン地方に着き
引越し用のトラックはお母さんが運転して、新宅に向かっているのだった。

助手席は空いてるけれども、なぜ私はトラックの中にいるのか。
・・・正直、恥ずかしい。7年ぶりの『お義母さん』。
お母さんはとても喜んで、抱きしめてくれたけど。その暖かさが逆に気恥ずかしかった。
自分からではあるけれど。汚いことをして、冷たい世界にいて、孤独の世界に居た自分には。

(・・・・兄さん)

孤独・・・ではなかった。支えてくれた人たちがいた。兄さんだけじゃない。
ミレイさんや、それにポケモンたちだって側にいてくれた。



ガタンッ

「っ!」


思い耽っていたとき、タイミング悪くトラックが止まり
予想だにしないことに、構えていなかった私はドンッと鈍い音をたてて、となりのダンボールにぶつかった。(いたたた)
仰向けに寝っ転がって怯んでいると、自分の頭の上にある扉が開き

「、何してるの?着いたわよっ!」

お母さんの顔が見えた。(は、恥ずかしいところみられたぁ〜)
荷物をさっさと下ろしていくゴーリキーたち。私も降りて、自分の格闘ポケモンを出して手伝う。
新宅はもちろん、辺りも見わたす限りキレイな自然いっぱいの場所で思わず見惚れてしまっていた。

「(これからココに住むのかぁ・・・えへへへ)」

ちょっと浮かれ気味な頭を抑えて、家から聞こえてきたお母さんの言葉を聞き、家へ入いる。



「ちょっとおつかい頼みたいの」

「Σ来たこともない未知の引越し先で、早々?!」

「ふふふ、大丈夫よぅなら」



この通り、なーんか天然入ってるんだなお母さんは。
聞けばおつかい先は、お父さんの知り合いのオダマキ博士のところらしい。
お届け物のついでにオダマキ博士はそれからお父さんのところへ行くらしいから、それについて行けと。

そそそ、それってつまり、お父さんのお迎えしろっていうのお母さん?!知らない人と!
むむむ無理だよ〜、そんな緊張のあまり自分から会いに行くとか、ふぇぇぇ!!?
おおお落ちつけ〜、落ち着こうぜ自分。そう落ち着くのだ。
後半はともかく、オダマキ博士へのお届け物があるんだ。これはやんなきゃだよな!うん!
どうしても勇気が出なかったら、オダマキ博士に一人で行ってもらえばいいんだ、途中放棄しちゃおう。

そんな密かな作戦をたて、お届け物を受け取って家を出る私。




ちゃーんと『仲間』を腰につけて
いざ、しゅっぱーーっつ!!!(あ、でも家のお手伝いさせてる子はいないから5匹だ)





『大自然、ホウエン地方』

~~~~~~~~~~~~~~~~~ まさかのオーレ→ホウエン物語です。できればオーレ書いてから書きたい← うちのポケモンでは、スタート地点でいきなりLv.38前後のパーティを持つ、最年少で最強ヒロイン。 ちょっとだけ「だった」寄りなテンションのヒロイン。でもアホではない。ちょっとオタク趣味 2009.09.12