カタカタカタ。
しばらく聞いていた音が止ませる。そして大きく背伸び。
「、終わったかい?」
「う〜ん。できたはできたんだけど・・・」
パソコンと向き合っていた身体を、後ろへ居たお父さんへ向かせる。
今度の研究結果発表で使う論文。それをひたすら書いていた私の身体は何時間も同じ体勢でいて、疲れが溜まってた。
一応最後まで文は書いたものの、少し気に入らない点がある。
けれどそれを見た父さんは「凄い、凄いよ!」としかいつも言わない。

今日も舞い上がって、その論文の書類を研究員の人に見せびらかしに行くお父さん。
そして一通り自慢したと思ったら、研究所にあるソファにお仕事疲れで倒れこむ。

それをいつもの調子で苦笑しながら眺めてる私。もう、しょうがないんだから。
お父さんへ毛布を掛けに行くと、研究員さんが
「今回も凄いですね、さすがウツギ博士の娘さん」
と。褒めてくれるのは嬉しいけれど、それじゃあ親の七光りだ。研究員さんは悪い人じゃないけれど。
一仕事終わらせて、気分転換に外へ散歩に行こうとする。

「行こう!」

パートナーのキノココを呼んで、研究所を出る。
白衣を脱いで私服に着替えた私は、そのまま買い物しようと商店街へ向かった。



「あんらちゃん!もうお仕事は終わったのかい?」
「ホント偉いわねぇ〜。その年で世界に通用する研究者だなんて!」
「ほら、うちの持っていきな!頑張った子にはご褒美がないと」

この風景はもう慣れた。みんな私を褒めてくれる。
みんながみんな、『ウツギ博士の娘だから』というわけでもないけれど。そうゆう人もいる。
でもみんないつも褒めすぎるのだ。理由は・・・私と比べる人がいるから。

しばらく歩いてるとざわめく人だかりが。
(噂をすれば影。もしかして…)
近寄ってみると多くの人に囲まれ、「おぉちゃん!アイツ止めてくれよぉ!」と言われ
その騒ぎの中心となってるところを見れば思ったとおりの人が居て、思わずため息が出る。



「だぁ〜か〜ら!50gくらいオマケしてくれたっていいだろーー!!」

「だぁ〜れがアンタにオマケしてやるか!日頃の行いを改めるんだね!」


「さっきからあの二人この調子で・・・煩くて敵わん」



お肉屋さんのオバさんと言い合いしていて、
キリがないと判断されたのか、頭に拳骨を喰らった男の子は
「ちぇ、俺のグレン風ハンバーグが。には大量にオマケしてたくせに」
しぶしぶ帰路についた。
その瞬間、彼と目が合う。



「お、!あのさオバちゃん説得し…」

「アンタホント何やってんの!!」



私を見つけるなり、何やら卑しいこと考えてそうな顔で頼みごとをしてくるに
彼の頭に数回軽くチョップしながら説教する私。何はしたないことしてんのよバカ!
彼はいててと怯むフリ(・・)をするが、私にはバレバレ。

「その帽子の下にいるライが、可哀相でしょー!!」

ばっと彼の帽子を奪い、彼の頭の上、帽子の下に居たのはコイキング。
(殴っているのは私だけど)この際、そこは気にしない。
「あらバレた。逃げるぜライ!」と言って、
私の持っていた自分の帽子を取り戻したはそのままびゅんっと走り去っていこうとするが、
「待ちなさい!しびれごな!」
自分の肩に乗っていたを彼の方向へ投げ飛ばし、技を繰り出す。
見事命中し、その場に倒れた。彼を庇うようにコイキングのライはひたすら彼の横で跳ね続ける。
彼に近づき再び何か言ってやろうとすると、オジさんが話しかけてきた。



「ちゃん、今日誰か研究所にくるのかい?」

「え、いいえ。予定はありませんけど」



とつぜんな質問をされて少し焦る私。なんのことだろう。
すると少し考える素振りを見せてからこう言い出すオジさん。

「いや、研究所の近くで怪しい少年が居てね」

「怪しい少年・・?」
「・・・復活早いわね」
「ライのはねるで、しびれごなを少しずつ掃ったんだ」

地道な作業で地面に横たわって息切れしているライを見て、「(不憫だ)」と思った。
それにしても・・・その少年なんの用かしら。研究所へアポもなしに。



「嫌な予感すんな。ライ、俺は研究所行ってっから、家からリンつれてこい」

「Σっ!(ガーン)」

「(・・・鬼畜だ)」



それでも長年の深い絆で、素晴らしいジャンプ力での家の方向へ跳んでいくライ。


「嫌な予感って…」
「勘だ勘。ほら、急ぐぜ」
「ポケモンいないと危ないじゃない」
「だからリンつれてくるよう言ったんだろ。それに今はだけで充分だ」




「その怪しいやつ、とっ捕まえに行くぜ」





『巨大な先進地方、ジョウト地方』

~~~~~~~~~~~~~~~~~ 一番書く気力のあるジョウト地方。 『巨大な』には色んな意味が含まれてますので、そのまま考えないでくださいorz(ぁ 14歳ヒロイン。恋愛要素重視で複数お相手がほしい方は、おススメ(何 ・・・まぁ多分一番最初に書き始めるだろうものです。 2008.09.12