「お、よー」
「お邪魔してまーす六、・・・と神?」
「よーッス。俺もお邪魔中だぜ」
Des家に行ってやっぱり寒かったのでお邪魔することにした私。
家入って早々ハヤトが私を自分の部屋に招こうとしたのは、あえてスルー。(何しに来たんだっつの)
リュータにハヤト止めてもらってる間に、DはCD取りに自分の部屋へ。
私はもう慣れてるこの家を勝手に歩いて、居間へと向かった。そして居間でオセロ中の二人。
「学校サボって何遊んでんですか、校長」
「まあまあ。俺様も忙しいんだ。本職、神だからな」
「また『ぱーていー』の招待にきたんだ、コイツは」
あーなるほど。今どこまで作ってんだろ。最近してなかったから次のパーティーももうすぐだし、その次かな?
そう思いながら横にちょこんと座る。
「なー、来いよ。そろそろ新たなヒップロック出そうぜ」パチン
「俺はそろそろ旅に出るから、出ないって言ってるだば」パチン
「(あ、神。一気に取られた)」
どうやら神さまは、六さんをパーティに呼ぶのに必死らしくオセロに頭が回らないらしい。
逆に六さんはただ断ればいいだけ。オセロにじっくり真剣だ。
この広いDes家の居間はものすごく広々としていて、テーブルが二つある。
一つはこたつにしてあるのに、六さんが煩悩嫌いの為もう一つは普通の四脚のちゃぶ台だ。
この寒いのにそっちでオセロやってる二人は、寒そうなんだけど
一人はそのあえて寒くしてる元凶で、それに付き合ってる神は『神さま』だからなんでもありなんだろうか。
見てて寒いし、当初の予定はこたつでぬくぬくしてテレビを見るつもりだった。
だから移動しようと思ったけど、この勝敗がはっきりわかるけれど人の勝負は見たくなるオセロのせいで私は動かなかった。
せめてもの、と。昼ご飯用にとアッシュが作ってくれたカレーガーリックトーストを頬張る。
「なーなー、新衣装とかアクションでにかっこいい姿見せたいだろ?」パチン
「か え れ」パチン
「わー、また取ったぁ。六かっこいいー!」
「・・・・・・」
わざと言った今の一言で、神さまは面白くなさそうに黙り込んでしまった。
六によしよし、と頭を撫でてもらったんだが、その瞬間に神の顔つきは変わった。ピコーンと。(・・ん?)
「な、んじゃ出ねぇ?」パチン
「行く行くー」
「見物者じゃなくて、参加者として」
「え?」
「(ピクッ)」
前はユーリについてきただけだっただろ?今度はちゃんと衣装と担当曲もって。
いやいやいや・・・そりゃ嬉しいけど、あたし生まれてこの方作曲なんて一回もしたことないぞ。
そう言うと、神は「Deuilに言や、手伝いでもなんでもしてくれんだろ」と。
いやいやいやいや、だからユーリたちは忙しいんだって。彼らは超人気バンドのメンバーよ。
神が主催するポップンパーティーだって、そっちの活動が忙しくてなかなか参加できないのに。それを忙しくしてどうする。
っつかこの前来て、ユーリ怒らせるだけ怒らせて帰ってったのはそれか!あの後大変だったんだぞ!
そんなわけで却下すれば、作戦失敗とでもいうように大げさに首を竦める神。
「残念だったな」パチン
「あっ!」
最後のマスに六が置いた瞬間、オセロは決着がついたようだ。一目瞭然に六の圧勝。ほぼ真っ白だ。
六おみごとー、と拍手すれば六は立ち上がり「今だんご持ってきてやる」と言って居間から去ってった。(やっほー!)
「あーあ。六にのパーティー参加、それにオセロも負け。三連敗」
「あはは。ドンマイ」
畳みに寝っ転がって猫のように身体を伸ばしてる神は、今日は仕事で来たからか大人の姿だった。
ごろーんとデカイ図体を転がしてる姿は、何か微妙に気持ち悪かったので突っついてみた。
ツンツン
「ちょ、ちょちょちょ、。軽く突っついてるつもりなんだろうけど、そこ耳の穴」
「うん。知ってる。微妙に気持ち悪いでしょ」
「Σ嫌がらせっ!」
神の反応に満足して私は今日のこと思い出し、貼り紙を無視して廊下を走ったことを言った。
そうすれば「あー、べつにいいぜ」と・・・・なら貼るな。
「紙の資源をムダにするな、エコだぞエコ。いま地球温暖化進行中なんだぞ」
「おま、紙ぐらいでそんな言うなよ」
「何言ってのさ、深刻なんだよ。日本も地球も終わっちゃうんじゃないかって」
「終わらせねェよ」
え、と。神のサングラス越しの目を見る。
神は一番近くの襖と窓を、寝っ転がりながら器用に開けて、仰向けに寝ている。
ちょいちょいと、神に手招きされたから私も仰向けに寝てみた。
神と同じように視線を上へ向ければ、漆黒の星空が広がっていた。
「星と月は、今もああして白く光ってる。そう見えるってことは雲がないキレイな空ってことだ」
「うん。ないね」
「そこはキレイだね、だろ」
「うん、キレイ」
「10年先も、この空見てぇかー」
「20年先も見たいーー」
「じゃあ俺が見せてやるよ。ずっと」
「・・・MZD」
「神様だからな」
横の神を見ると、空を見たまま彼は笑ってた。
あぁ、そういえばこの空の色。どこかで見たと思ったら、MZDの服だった。同じ星空の色。
そうじっと見つめてたら神がこっちを見た。
「や、他のやつらがそう望むんなら俺はそうしてやる」
「MZDもこの空すき?」
不意に、私はそう言った。何も考えてない。ただ、空とこの目の前の『神様』を見ていたら訊きたくなった。
ただそれだけで、考えなしの無表情で神を見てる私だというのに
その神さまは、心の底から答えてくれた気がした。
「好きだ」
バタン
「さんんんんんーーーー!!!無事ですかぁぁ!!」
「ちょ、ハヤト待て!!告っただけだから!」
「てめ、MZDぃぃぃ!!斬ってやるだば、そこに直れぇぇ!!」
「「は!?」」
突然、襖が開けばみんなが神に攻撃。(何事?!)
リュータがハヤトの腕を押さえるが、足がフリーなハヤトはそのままスケボーを蹴って神にぶつけるし
刀持った六がマジで神を斬ろうとして、それをギリギリ避けた神だったけど
その最終的に逃げた場所にDが居て、背負い投げされた。(D?!武闘派?!!)
それに追いつけず、いろんなことに頭が回ってると余計混乱してきて、Dが
「大丈夫、は何も聞かなかった。何も聞かなかった・・!」
と催眠してくるまである意味、意識がなかった。って何してんだアンタら!
「何勝手に催眠術かけてんですか、何が?D?」
「大丈夫だ、の身の安全は保障された」
話が進まねぇっ!そう心の中でつっこんでると「テメーらいい度胸だ!!神に手かけるとはどうゆう了見だぁぁ!!」と神がキレた。
もういっそ、スケボー当たったのにピンピンしてるのは放っといて神に聞き出してもらおう。
そう考えて黙ってる。と、Dが私の盾になるように前へ立った。(あれ、なんだこれ)
「俺が何したっつーんだ、あぁん?!」
「しらばっくれるんじゃねぇ!!抜け駆けしてただろうがーー!!」
「は、ぬけ?」
「さんはみんなの・・・いや、僕のです」
・・・・・・いや、もう最後のは疲れたからスルーしてどうゆうことだ。
しかしそんなハヤトの言葉でわかったらしい、神。
「あぁもう、さん。あんなのに告白されるなんて気持ち悪かったでしょうに・・」
「こ、く・・?」
「ア?・・・・・・あ」
「ふっざけんじゃねーー!!なに誤解してんだ!あれはにじゃねぇよ!勘違いすんな早とちり!」
「何をこの期に及んで、そんなことを!ばっちしさんに向けてだったでしょう!!」
「言い逃れとぁ、MZD。覚悟できてんだろうな」
誤解、勘違い、早とちり。私じゃないやつにって・・・。
殺気立ってる六さんは何しでかすかわからんから、とりあえず刀を奪っとく。
・・・さっきの「好きだ」?
・・・・・・・・・・。
「ふっざけんなぁ!!」
「「(ビクッ)」」
「っ?」
「違うから!MZDは私じゃなくて、空に告っただけだから!!」
「Σ俺、空に告ってたの?!」
六から奪った刀を、空を指すように上へ向ける。
やっとわかった現状にそういえば、すかさず私につっこんだ神。だってアレを告白とするなら、空にでしょう。
っつか、くっだらねぇ・・。何にそんな怒ってんだか。そして私も怒るのも疲れてきた。
もういいよ。まだそんな暖まってないけど、もう晩いしそろそろ帰る。
そう言ってDの持ってたCDを「借りるねー」ともらい、玄関へ向かう。
それにバタバタ慌ててついてきたみんなは、『晩いから自分が送る』で今度は口論してるらしい。
「、俺が送るぜ。どうせ俺も行くし」
「MZDさんが危ないでしょう。僕が」
「ハヤトは人のこと言えねーぞ?言っとくけど」
「俺が責任もって、送ってくだば」
「や、元々はオレがつれてきたし。オレが」
「あぁもう。神が送って。空からなら近道だし、そんな変なことできないでしょ」
そう私が言えば、神はガッツポーズを、それ以外はがっくしとありきたりなリアクションをしていた。
「んじゃそろそろ。みんなバイバーイ」
「さーん、また明日ー」
「明日はちゃんと授業でろよー」
「また来いよ」
「、気をつけろよ」
「え?・・・・あぁ、うん。CDありがとう(神か)」
外へ一歩出て、神の元へ光が集まる。
よっしゃ行くぜ!と神が言うと同時に、空へ舞い上がる私たち。スカートが風になびかないよう押さえる。
空から、そして神の力で移動すればどんな場所でもあっと言う間で
すぐに城へと着いていた。
主に学校へ行くときの出入り口の前に降り立つと、そのすぐあとに私たちの目の前で降り立ったユーリ。
「あ、ユーリ。ただいま。なんでわかったの」
「あぁおかえり。バルコニーに居たから、見えたんだ」
「なるほど。あのね、Des家に居て、神も偶然居たから送ってもらったよ」
「そうか、それはが世話になったな」
「こんぐらい、お安い御用だぜ。ならいくらでも」
そう言いつつ、神が何かを狙ってるのは私もユーリもわかってる。
「礼ならパーティーに…」「断る」「やっぱりか」
即答。まぁそうだろうけど。
いい加減諦めたのか、苦笑いしながら宙に浮いたMZD。仕事が忙しいから、とすぐに光になって消えていった。
仕事が忙しいって・・・。六とオセロしてたくせに。
「(始めはパーティー参加でも賭けてんのかと思ったけど、違ったし。・・・どっちにしろ負けてたけど)」
でも私にもいろいろ付き合ってくれたり、神さまも忙しいのかそうじゃないのか。
空をまた見ようとしたとき、目の前にある高い高い城も視界に入った。
城は大きくてその部分の空と私の妨げになるけど、尖がった屋根の間々にある星はよく光って見える。
私の育った場所のこの城と、私の育ったこの世界の空。ふたつの風景。
(うん、キレイ。また見たいな)
そう思って城の入り口へ視線を寄こした。
ドアが開いて、タイミングよくスマとアッシュが出てこっちへ向かってきていた。
それを見かねてユーリは、私に一目配ったあとに言った。
「、冷える。入るぞ」
「あ、うん」
「今日も随分と晩かったな」
「あ、アッシュー!今日のご飯なにー?」
「今日は寒かったッスから、お鍋ッスよー」
「こら、…」
「わーい、ユーリが怒ってるー。、逃げちゃえ!」
「おうさスマ!先ダイニング行きまーす!」