さっさとあの場所を去って正解だった。
教室から出て数秒後、爆音と共にDの声が聞こえた。Dに何かあったんだな・・・。
あぁ、そうわかってても助けられない私を許してねD!次行ったら絶対逃げられないだろうから!
せめて貴方の無事を祈ってるわ。   貴方の心の友、より。
なんてことを考えながら、そこを後にした。

そして保健室。
目の前にあるドアをノックしてからガラッとあけ「失礼します」と中に入る。
中は暖房が効いてて、とっても快適な空間だったが…


「おぉ!よっ、。どっか悪いのか?」

「・・・・っ!」


パーティーに出てた、あのピンクのパーカーに白衣を着たニッキーが居た。
「な、なんでアンタいんのさ・・」「えぇー?オレ保健委員だぜ」「嘘つけ」「ホントだって」
ああああありえん!ニッキーのクラスメイトおかしいだろ!!なんでコイツにやらせるかな!?
まぁどうせ無理やり押し切ったに違いないだろう。野望のためならなんでもやる男だ。

周りを見渡しても保健の先生はいなかった。だから保健委員が呼ばれたんだろう。
だからってよりにもよってこんな時に、コイツって・・!!

「、汗掻いてんぜ。服脱いでみろよ」
「キショっ!!!ちょ、近づくな変態!!」
「っつかオレが脱がしたい(ハァハァ)」
「死ねっ!!」

迫ってきたニッキーを、私の得意技『回し蹴り』で仕留めると
「に蹴られた〜、パンツ見えたぜイェイ★★」
と鼻血噴き出して倒れた。コイツマジで死なねぇかな。

そう考えると突然ドアが開き、誰かが入ってきた。



「コラコラ、静かにしてください」

「っ!!ミシェルさぁぁ〜〜ん!」

「え、さんじゃないですか」



先生辺りがきたらヤバイと思ったけど、天のお助けでミシェルさんが来てくれたぁぁ!!
ミシェルさんはただいま学校で働いてるのです。期間限定だけど。(ずっと学校にいてくんないかなぁ)
Σはっ!そうだ!図書室だって設備いいし、保健室なんかより断然安全じゃないか!
「ミシェルさん、私図書室に居てもいいですか?」
「どうぞどうぞ。さんなら大歓迎です」
よっしゃ!そうと決まればさっさとこんなとこ去ってやる!

「ところでニッキーくんが倒れてますが」
「気にしないでミシェルさん!行こ…」
「のパンツみ〜え〜た〜ち、まだ生きてたか。最後に頭を蹴っといた。
っつかミシェルさんの前でなんてことを・・!変な誤解されるじゃないか!
そう思ってミシェルさんを見ると「パンツですか・・・」としみじみに言うミシェ・・・はい?!
なんかちょっとだけイヤな予勘するんだけど、ミシェルさんは私の方によってスカートに手を伸ばし…

ピッ…ガシッ



「なななぁにしようとしてんですかぁぁぁ!!」

「ニッキーくんだけずるいでしょう?僕も見ようと」

「いやいやいや、ホントに何言っちゃってんですか?!!ミシェルさん?!ミシェルさんですよね?!」



あっぶねぇぇーー!ナチュラルにスカートの裾掴んで上げようとしたよこの人!
ミシェルさんって時々わかんない・・・。
そう思ってると「では行きましょうか(キラキラ)」と手を私に差し伸べたミシェルさん。
いや・・・・もう図書室も危ないってわかったよ。
なので「あ・・・いや・・その・・・ごめんなさい!!」と保健室から出てった私。
できるだけ早く遠ざけるように走る私。あぁごめんなさい校長、今は『廊下は走らない』の貼り紙を無視します。

長い廊下を走って走って、そろそろ角で曲がるってとき。
私は走るのに夢中すぎて気づいてなかったけど、前から「あ、え?!」という人の声。
次にくるのはもちろん、ドンッという人とぶつかった音と衝撃。
(いたたたた・・・。もうなんで授業中なのに、こう人がいるんだ!)
と心で思ってると、前にぶつかった人が「だ、大丈夫!」と言ってきた。(あれ?)
目の前の人を見てみると



「ヒューさん?!」

「あ、うん。大丈夫?」

「は、はい。私は平気なんですけど、ヒューさんは?」

「オレはぜんぜん平気だよ」



ニコッと微笑んだヒューさんは相変わらずイケメンだった。
見たところ本当に平気なようで、そういえば私はブッ飛んで倒れたけどヒューさんは立ったままだ。すっご。

「あれ、ってかヒューさんなんで学校に・・・」
「今日はちょっと焼却炉の修理に」
「焼却炉の修理まで出来ちゃうんですか。すごいですねヒューさん」

そう言うと「あはは、そんなことないよ」と照れ笑いするヒューさん。可愛い。
しかし、いやでも凄いよ。整備士って万能なんだなぁ。
「・・・・・ヒューさん。私もついていっていいですか?」
「え・・?ぜんぜんいいけど・・授業は?」
「自習ですけど私もうこれでもかっ!ってぐらい勉強したんでいいんです(命の儚さを)」
誰も死んでないけどね・・・たぶん。D、無事でいてね。
そう思ってるとヒューさんは「すごいなぁ」と言いながら私の頭を撫でてくれた。かっけー。

そのままヒューさんと共に焼却炉へ行って、ヒューさんのスパナ捌きを見たあと
「終わったけど、はどうする?オレは帰っちゃうんだけど」
「是非連れてってほしいところですが、さすがに早退するとユーリが(色んな意味で)怖いので教室戻ります」
「あはは、それじゃ頑張ってね」
と、教室に戻ることになった私。
バイクに跨ってエンジンをつけるヒューさんは不意に「あ、」と言い、自分のバッグを漁り始めた。そして
「はい、あげる」
ぽいっと何かを私に投げ、私は見事にそれをキャッチした。
・・・パン?
・・・・・・ふぁぁっ!!そういえば昼休みも過ぎてる、ってかもう放課後になるぅぅ!!
やっとその事実に気づいた私に、ヒューさんは苦笑いした。
焼却炉の修理ってそんな時間かかんの?!ってかパン、ヒューさんの昼ごはんじゃないんですか?!
そうヒューさんに問い詰めようとしたとき、ヒューさんはもうヘルメットを被っていて

「付き合ってくれた、お礼」

と言い、ヴーンと去っていってしまった。
ポツーンと独り駐車場に居る私。ヘルメット越しのヒューさんの笑顔はやっぱりイケメンだった。
最後にじゃあねとか言われた気がするけど・・・私の頭ではさっきの言葉が、エンドレスリピートしてるよ・・!

あぁもう、相変わらずかっこよかったなぁ・・・。
と目の保養をして余韻に浸ってたところ…



「っっ先輩〜〜〜!!」

「ぎゃぁぁぁぁ!!!」



ドスッと後ろからタックルを喰らった私は、そのままうつ伏せに倒れる。(イッタ・・!!)
もちろんタックルしてきたのは、例の如くハヤトで。
もうお前、どっからきた!そしてどうしてココがわかった!!
と言いたい気持ちを抑えて、とりあえず重いから「退い・・て」と言うとハヤトは
「・・・なんかこの体勢、いろんなことできちゃいますよね」
とか言うもんだから
「いや、できません」
と返しといた。(もうこの子の頭はネジ1、2本は抜けてるんじゃないだろうか)

そんな攻防もどきを繰り返してると、後ろから「ハヤトぉぉぉ!!」とか言う声がした。
それに何かと思って振り返ったら・・・・おぉ、D!生きてたか!
よかったよかった。キミが無事なら、もう私は何も望まないよ。嘘だけどね。
っていうか、さっきのを言ったのはリュータで、私の上のハヤトをササッと退かしてくれた。
「リュータ先輩、ジャマしないでくださいよ…」
「リュータ、ありがと。いつもすまないね」
ハヤトのセリフを遮るようにリュータにお礼を言う。もう私のせいで犠牲者なんて出さないわ!嘘だけど。

ようやく起きれたことから服に付いた砂を叩き落とし、身を整えた。
「あ、ねぇ。もう終わった?みんな帰ってんの?」
と訊けばDが来て、私にバッグを渡しながら言った。
「とっくに。それから探してたんだよ」
あー、今日行くっつったもんね。Des家。迎えにきてきれたんだー。
そう思いながら渡されたバッグを見ると、私のだった。おぉ、持ってきてくれたのか。さすがだ。
よし、じゃあDes家行きますか!ココ寒いし!
と勢いつけて歩き出す。あー・・しかしホント寒いなぁ。
CD借りに行くだけなんだけど、こりゃお邪魔しちゃうことになるかな。


「リサがノート入れてたぞ」
「ってか今日、授業したの?

いつの間にか過ぎた昼休み 2008.11.29