「はぁ・・・着いてしまった」



正門の真ん前ど真ん中に居る私。
チラッと門に書いてある文字を見れば「私立ポップン学園高等部」。うん間違いない。

(うぅーん、間違えないで来ちゃったどうしよう。行きたくないなぁ)
かと言っていつまでもココに居られるわけなく、ましてや逃げられない。
二時間どっちもサボったらさすがに可哀そうだしなぁ、ハヤト。しかし怖いなぁ、ハヤト。
いやいやいや、怖いといってもねぇ?一生逃げるわけにもいかないじゃない?うん。

校門の前をうろちょろしていたけど考えを纏め、
いざ腹をくくり、一歩踏み出し学校へと入った。
瞬間



ちゃ〜〜〜〜ん!!!!」



超デカイ声が私を呼んだ。
(う、うるせっ!誰だ近所迷惑なボリュームで私を呼ぶのは!?)
そう思って校舎を見ると、3階の教室からタローが満面の笑顔で大きく手を振っていた。
でも一瞬でそのタローは埋まり、全教室からたくさんの人がコッチを見た。

めめめめ・・!超目立っちまったじゃねぇかタローのばぁかぁぁぁ!!!
そう、もちろん中等部含めた校庭には誰もいないし、学校の外含めて私の周りにも誰もいない。
(つまり、中等部との合同授業はそれほど巨大なものなのだ。体育なんてやってないんだ・・!!)
もう急いで門に隠れたけど、全教室から男女老若、むしろ生徒先生問わずに歓声。、やっときたかー!」とか
「ちゃ〜〜ん!!」やら
なぜ平凡な私がこんな人気なのか?知らん。ユーリ城に住んでからこうなった。
なんかホント知らんが、私と居るといい事があるらしい。つまり幸せの青い鳥的なものになってるのだ。
そんな噂が広がってからというもの、学校ではほぼ私は普通に生きていけない。

まぁそれは置いといて、「やっときたかー?さっさとこーい。授業始めるコロ」って声がした。
言わずもがな、DTOだ。ひょこっと顔を出せば、教鞭を振り回して合図しているのが見えた。
あれ?今日は合同授業でもDTOは私のクラスに居て、ハジメちゃんと一緒だからサボるかと思ったのに。
だって仕事全部押し付けられるから。
そんなダメ教師に『わかったー』のつもりで手を振り返す。すぐさまダッシュで行かねば。

ダダダダダダーっともう陸上部もびっくりな走りで下駄箱までついた。私ってやればできるのよね。
私が靴を履き替えて上履きを履いてると…



ちゃ〜〜〜〜ん!!!!」


ドスッ


さっきよりもデケー声でタックルしてきやがったタローくん。テメーさっきから何すんじゃワレぇぇぇ!!!」
「え、え!?ご、ごめんなさいい!」
痛かったからキレて思わず不良言葉で脅しちゃったけど、素直に謝るタローが可愛かったので
よしよしと頭を撫でて許してあげる。タローはぎゅぅっと私にしがみついて、私の肩に顔を押し付ける。

と、そんなのほほんとした雰囲気だったのに、ガスッとタローの頭にヒットした何か。
その声と同時に「タロー、テメー何してんだ」とナカジの声がした。
その方向へ視線を向けると、タローを迎え・・いや追いかけにきたであろう彼は息切れして、ついでにキレ気味だった。

「何すんだよナカジー。痛い痛いー」
「お前の頭の中が痛いんだろうが・・!(から離れろ!)」

攻撃してもいまだ私から離れないままふざけるタローに怒ったのか、
上履き片方を投げてタローにぶつけようと投げるナカジ。(さっき投げたのは上履きだったのか)
しかしタローは今度は避けて、あっかんべーと舌を出してナカジを挑発する。
それにまんまと乗ってしまったナカジはブチッと音を立てて、



ブオッ←風の音

「っ!!」

ゴガッ



タローの胸倉を掴み(私と無理やり離させ)、見事『背負い投げ』成功。タローーー!!!)
そのまま取っ組み合いを始めた二人。タローは思ったより平気そうだった。(ゴガッて絶対骨イった)
「二人共ー、いま授業中だよねー?抜け出してきたのかい?」
「ナカジ何すんだよ!痛い!!」
「テメーがバカなことばっかりしてるからだろ!!!」
「おーい、聞いてー。置いてくよー」
・・・声掛けても返答なし。これは置いていっていいものか。よし。
ってことで置いてく。あの二人は私と同じクラスなわけでもないし。問題なし。

教室着いてガラッと開けると、目の前から教鞭が降ってきて私の頭に命中。
「いたっ」
「遅いコロ」
もちろん教鞭で私の頭を叩いたのはDTOで、ハジメちゃんは「よっ」と言った。
とその瞬間ゴジャッという音と共にDTOが潰れた。(ゴジャッ??!)



っさ〜〜ん!!やっと来たんですね!やっと逢えました!!」

「は、ハヤ…」

「もう先輩になにかあったんじゃないかと・・本当に心配したんですから!!」

「あ、ありがとう。この通り元気…」

「Σはっ!まさか、Deuilに何かされたんですか?!それで足止めされ…」

「ハヤト、君いいかげん黙ってくれ」



さっきの音はハヤトがスケボーで(スケボー?!)DTOを轢いた音だった。って、DTOぉぉぉ!!!
DTOを見ると「だ、大丈夫だぞ・・心配するな」と強がって起き上がろうとする、血まみれのDTO。
ゴジャッて、絶対『ジャ』の部分タイヤが皮膚を切った音だよ!!大丈夫なわけないだろ!!
さすがにそれはハジメちゃんも含め、生徒全員ドン引き。これはマズイ!血まみれ教室なんて嫌だ!←超個人的



「先輩命令その一!!ハヤト、お前のスケボーでDTOを保健室に運ぶのだ!」

「ちょ、それパーティに出るときに出した僕のプロフィール知ってて言いましたね?」

「だからDTOを運べと…」

「それ言っときますけど、アノ子って先輩のことですから。こんなオジサンなわけないでしょう」

「っていうか、ケガして倒させたのもハヤトのスケボーだけどな」



ハジメちゃんの鋭いツッコミに教室が笑い声に包まれる。どうやらDTOは無視のようだ。
いやいやいや、そんなわけにはいかなくて。「ほら、先輩よく貧血になるでしょう?」というハヤトの頭を叩いてから
青春漫画のようにDTOを支えて言う。(貧血になるのは、もちろんユーリのせい。しかしよくではないよ、ハヤトくん?)
「DTO!しっかりしろぉ!今保健室連れてってやるからな!ハジメが!!」
「俺ぇぇ?!!」
予想よりもビビってたハジメちゃんを無視し、DTOをハジメにおぶらせる。
野郎に担がれるなんてとか色々文句言ってたが、ガムテープを口に貼り黙らせた。

「あー、じゃあ学級委員仕切って進めてろ。大体わかるだろ」
「ハジメちゃん、私ぜんぜんわかんないけど」
「先輩、僕が教えてあげます。パートナーですし❤ฺ」
「いやん、何かハヤトが怖ぃ〜」
「仲良くな」

ガラガラピシャンッ
え・・・うそん。今仲良くっつった。ハヤト絶対黒いオーラ出してたのに。
何、ハジメちゃんは白いからなんにも気づかないの?今朝からなんだ?ひどいぞ?
そう思ってるも虚しく、楽しそうにあたしを引きずってくハヤト。
座った途端に「今日は楽しい1日にしましょうね」とぼそっと呟かれたのを、できれば聞き逃したかった。





おはよう )(!)(先輩!) (今日も一緒に遊ぼう!)(みんな、授業中です・・・) 2008.09.21